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補助金コラム

補助金の勘定科目と仕訳|雑収入・国庫補助金受贈益の使い分けと消費税・圧縮記帳

公開日:2026年10月26日 更新日:2026年10月26日

補助金の勘定科目は、営業外収益の「雑収入」か、補助金であることがわかる「国庫補助金受贈益」「補助金収入」を使うのが一般的で、消費税は不課税(課税対象外)です。国や自治体の補助金は、国税庁の消費税法基本通達5-2-15で「資産の譲渡等の対価に該当しない」とされているため、入金額に消費税は含まれません。一方で法人税・所得税の計算では収益に入るので、固定資産を買うための補助金なら圧縮記帳で課税を先送りする方法があります。この記事では、勘定科目の選び方、入金時と未収時の仕訳、消費税の扱い、圧縮記帳の要件を、法人と個人事業主に分けて整理します。

この記事でわかること

  1. 補助金・助成金の勘定科目(雑収入・国庫補助金受贈益・助成金収入)
  2. 補助金の仕訳例(入金時・未収時・資産を買ったとき)
  3. 補助金の消費税は不課税、消費税を払ったときの勘定科目
  4. 補助金で買った資産の仕入税額控除と、消費税相当額の返還
  5. 補助金を計上する時期
  6. 補助金の圧縮記帳(国庫補助金等)と個人事業主の扱い

補助金の勘定科目(雑収入・国庫補助金受贈益・助成金収入)

補助金の勘定科目に法令で決められた名前はなく、会社が継続して同じ科目を使えば足ります。よく使われるのは、本業以外の収入として扱う「雑収入」、補助金であることを明示する「国庫補助金受贈益」または「補助金収入」、雇用関係の助成金で使う「助成金収入」の3系統です。どれを選んでも課税所得の計算は変わりませんが、決算書を読む銀行や税理士にとっては、補助金が独立した科目になっている方が中身をつかみやすくなります。とくに固定資産を買うための補助金で圧縮記帳を使う予定があるなら、圧縮損と対になる国庫補助金受贈益を使うと、別表との対応が追いやすくなります。金額が小さく毎年は発生しない場合は、雑収入にまとめて摘要欄に補助金名を書く方法でも足ります。個人事業主は青色申告決算書の「雑収入」に入れるのが一般的です。

勘定科目 区分と向いている場面
雑収入 営業外収益。金額が小さい単発の補助金や、個人事業主の決算書で使います。
国庫補助金受贈益 特別利益(または営業外収益)。固定資産を買うための補助金で、圧縮記帳を使うときに向いています。
補助金収入 営業外収益。補助金を毎期受け取り、独立した科目で管理したいときに使います。
助成金収入 営業外収益。雇用調整助成金やキャリアアップ助成金など、雇用関係の助成金で使います。
未収入金 資産。額は確定したのに、期末時点で入金されていないときに使います。
固定資産圧縮損 特別損失。圧縮記帳で資産の帳簿価額を減らすときに使います。

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助成金の勘定科目と消費税

厚生労働省の雇用関係助成金も、消費税法基本通達5-2-15で補助金と同じく「資産の譲渡等の対価に該当しない」とされ、不課税です。勘定科目は助成金収入か雑収入を使います。雇用関係の助成金は固定資産の取得に充てるお金ではないため、次に説明する圧縮記帳の対象にはなりません。

補助金の仕訳例

補助金の仕訳は、資産や経費を支払う取引と、補助金を受け取る取引を分けて記録します。補助金は後払いが原則で、先に事業者が全額を支払い、報告と審査を経てから補助金が入ります。下の例は、税抜経理の法人が税抜200万円の機械を買い、補助率1/2で100万円の補助金を受け取る想定です。消費税は補助金の側には一切出てこず、支払側の仮払消費税等だけに現れます。補助金の入金額が補助対象経費の税抜額をもとに計算されていることが多いのはこのためで、補助金と消費税を混ぜて記帳しないことが、後の申告を楽にします。補助金が税込額を基準に出る制度もあるので、交付決定通知書で「補助対象経費(税抜)」の欄を確かめてから金額を合わせてください。

①資産を買って支払ったとき

借方 金額 貸方 金額
機械装置 2,000,000 普通預金 2,200,000
仮払消費税等 200,000

②補助金の額が確定し、期末までに入金されなかったとき

借方 金額 貸方 金額
未収入金 1,000,000 国庫補助金受贈益 1,000,000

③翌期に入金されたとき

借方 金額 貸方 金額
普通預金 1,000,000 未収入金 1,000,000

確定と入金が同じ期なら、②③をまとめて「普通預金/国庫補助金受贈益」の1本で記帳します。経費(広告費や外注費など)に対する補助金も同じ形で、借方の科目が経費になるだけです。

補助金の消費税は不課税(課税対象外)

補助金の受け取りに消費税はかかりません。消費税は「事業者が対価を得て行う資産の譲渡等」にかかる税で、国税庁の消費税法基本通達5-2-15は、国や地方公共団体の補助金・奨励金・助成金のように特定の政策目的の実現を図るための給付金は、資産の譲渡等の対価に該当しないと定めています。会計ソフトでは、補助金の受取に「対象外」または「不課税」の税区分を付けます。ここを「課税売上」にしてしまうと、受け取った補助金から消費税を納めることになり、課税売上割合の計算もずれます。補助金の受取は消費税の申告書には出てこない取引だと覚えておくと迷いません。なお固定資産圧縮損も、帳簿の上で資産の価額を減らすだけで外部との取引がないため、消費税の対象外です。

消費税を払ったときの勘定科目

経理方式 決算時 納付時
税抜経理 仮受消費税等と仮払消費税等を相殺し、差額を未払消費税等に振り替えます。 「未払消費税等/普通預金」で納付を記帳します。
税込経理 未払計上するなら「租税公課/未払消費税等」と記帳します。 未払計上しないなら「租税公課/普通預金」で納付時に費用にします。

国税庁の個人事業者向けの手引きでは、税込経理の場合、納付税額は原則として申告書を提出した日の属する年の必要経費になり、未払金に計上すればその年の必要経費にしてもよいとされています。

補助金で買った資産の仕入税額控除と消費税の返還

補助金で買った資産でも、一般の事業者(原則課税)なら支払った消費税は全額を仕入税額控除できます。補助金が不課税だからといって控除が減ることはありません。ただ、補助金の額が税込の経費をもとに計算されていると、事業者は消費税分まで補助を受けたうえで、その消費税を申告で控除することになり、二重に戻ってくる形になります。そこで、税込額を補助対象にしている補助金では、交付要綱で「消費税等仕入控除税額」の報告を求め、控除した分を返還させる仕組みを置く例があります。返還の有無と計算方法は補助金ごとに違い、たとえば島根県の案内では、消費税の申告義務がない場合や簡易課税で申告している場合は返還不要(報告は必要)とされています。逆に、消費税を補助対象外にしている補助金(デジタル化・AI導入補助金は公募要領で「公租公課(消費税)」を補助対象外と明記)では、この二重取りが起きないため返還の手続きもありません。

「特定収入の調整」は一般の会社には関係しません
国税庁タックスアンサーNo.6495の「特定収入」による仕入控除税額の調整は、国・地方公共団体の特別会計、公共法人、公益法人等、人格のない社団等が対象です。株式会社や個人事業主は対象に挙がっていません。また対象の法人でも、簡易課税を選んでいる場合や特定収入割合が5%以下の場合は調整不要です。ネットで「補助金を受けると仕入税額控除が減る」と書かれているのは、この公益法人等向けの話であることが多いので、自社がどちらに当たるかを先に確かめてください。

補助金を計上する時期

補助金の収益は、受け取る額と権利が確定した時点を基準に計上するのが基本で、入金日と一致するとは限りません。多くの国の補助金は「交付決定(上限額の決定)」「事業の実施と支払い」「実績報告」「額の確定通知」「入金」の順に進み、交付決定の段階では最終的な金額がまだ決まっていません。国税庁の法人税基本通達10-2-1の注では、補助金適正化法第15条により補助金の額が確定し、その通知を受けたものは返還を要しないことが確定した補助金に当たるとしています。実務では、確定通知の日付で収益を立て、期末までに入金がなければ未収入金で受ける形にしておくと、期ずれを避けやすくなります。決算日をまたいで実績報告を出した場合は、確定通知の日付がどちらの期になるかで計上年度が変わるので、通知書を税理士に渡してください。

補助金の圧縮記帳(国庫補助金等で取得した固定資産)

圧縮記帳は、補助金で買った固定資産の帳簿価額を補助金の額だけ減らし、その減額分を損金にすることで、受け取った年の課税を先送りする仕組みです。法人税法第42条は、固定資産の取得または改良に充てるための国または地方公共団体の補助金等(国庫補助金等)を受け、その返還を要しないことが事業年度末までに確定した場合に、補助金の額を上限に帳簿価額を損金経理で減額するか、同額以下を積立金として積み立てたときは損金に算入すると定めています。減額した分だけ以後の減価償却費が小さくなるので、税額の総額は変わらず、課税の時期がずれるだけです。適用には確定申告書に明細(別表十三(一))を付ける必要があり、書き忘れると使えません。法人税基本通達10-2-1によれば、交付の条件に違反したら返還する、といった一般的な条件が付いていても、返還不要の確定には影響しません。

④圧縮記帳(直接減額方式)

借方 金額 貸方 金額
固定資産圧縮損 1,000,000 機械装置 1,000,000

⑤圧縮記帳(積立金方式・決算確定時に剰余金処分で積み立てる)

借方 金額 貸方 金額
繰越利益剰余金 1,000,000 圧縮積立金 1,000,000

積立金方式では帳簿価額は200万円のまま残り、税務上だけ減額したものとして申告書で調整します。

補助金が翌期に確定したとき(期をまたぐ圧縮記帳)

資産を買った期の後で補助金の返還不要が確定した場合も、確定した期に圧縮記帳できます。このときの上限額は補助金の全額ではなく、法人税法施行令第79条の2により「確定した日の帳簿価額 × 補助金の額 ÷ 取得価額」に縮みます。すでに償却した分だけ圧縮できる額も減る、という計算です。確定前の期末に補助金を受け取っている場合は、法人税法第43条の特別勘定で受けておき、確定後に取り崩して圧縮する方法もあります。

個人事業主の圧縮記帳(総収入金額不算入)

項目 法人 個人事業主
根拠 法人税法第42条(圧縮額の損金算入)によります。 所得税法第42条(国庫補助金等の総収入金額不算入)によります。
帳簿の処理 圧縮損の計上か、積立金の積立てが要ります。 圧縮損の仕訳は要らず、補助金を総収入金額に入れません。
返還不要の確定期限 事業年度が終わる時までに確定している必要があります。 その年の12月31日までに確定している必要があります。
確定していないとき 第43条の特別勘定を使います。 第43条(条件付国庫補助金等の不算入)を使います。
その後の減価償却 減額した後の帳簿価額をもとに計算します。 取得価額から補助金額を引いた額をもとに計算します(所得税法施行令第90条)。
手続き 申告書に明細を書きます。 確定申告書に、適用を受ける旨と金額を書きます。

個人事業主は、雑収入として記帳した補助金を決算で総収入金額から除き、同額を取得価額から引いて償却費を計算する流れになります。

ご注意 圧縮記帳の対象は、固定資産の取得・改良に充てる「国または地方公共団体の補助金等」と、法人税法施行令第79条に列挙された独立行政法人等の助成金です。独立行政法人や民間団体が交付する補助金が対象になるかは、制度ごとに確かめる必要があります。デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)で入れたソフトの会計処理はIT導入補助金の会計処理の記事で扱っています。本記事は国税庁の公表資料をもとにした一般的な整理です。実際の処理は顧問税理士にご確認ください。

よくある質問

Q. 補助金の勘定科目は雑収入と国庫補助金受贈益のどちらが正しいですか?
A. どちらでも誤りではありません。税額は変わらず、継続して同じ科目を使うことが求められます。固定資産を買う補助金で圧縮記帳を使うなら、圧縮損と対応させやすい国庫補助金受贈益が向いています。
Q. 補助金に消費税はかかりますか?
A. かかりません。国や地方公共団体の補助金は資産の譲渡等の対価に当たらないため不課税です(消費税法基本通達5-2-15)。会計ソフトの税区分は「対象外」にします。
Q. 補助金で買った機械の消費税は仕入税額控除できますか?
A. 原則課税の事業者なら控除できます。ただし補助金が税込額をもとに出ている場合、交付要綱で控除した消費税相当額の報告と返還を求められることがあります。消費税を補助対象外にしている補助金なら返還はありません。
Q. 圧縮記帳を使うと税金は安くなりますか?
A. 受け取った年の税額は下がりますが、以後の減価償却費が減るため、合計の税額はほぼ同じです。資金繰りをならすための制度で、赤字の年は使う意味が薄くなります。
Q. 助成金でも圧縮記帳できますか?
A. 雇用関係の助成金は固定資産の取得に充てるものではないので、圧縮記帳の対象になりません。助成金収入か雑収入で収益に計上します。
Q. 補助金で整備システムを入れた場合も、同じ勘定科目でよいですか?
A. 受け取った補助金の科目は同じです。自動車整備システムや車両販売システムを買い取りで入れた場合はソフトウェアとして資産計上、月額利用の整備ソフトは費用処理になります。整備システム リースなしの買い取り型か月額型かで処理が分かれるため、詳しくはIT導入補助金の会計処理をご覧ください。

まとめ

  • 補助金の勘定科目は雑収入、国庫補助金受贈益、補助金収入のいずれかを使い、雇用関係は助成金収入にする。継続して同じ科目を使う。
  • 補助金・助成金は消費税の不課税取引で、税区分は「対象外」にする。
  • 補助金で買った資産の消費税は原則として控除できる。税込額を補助する制度では、控除分の報告と返還を求められることがある。
  • 「特定収入」の調整は公共・公益法人等向けで、一般の会社や個人事業主は調整しなくてよい。
  • 収益は額の確定を基準に計上し、未入金なら未収入金で受ける。
  • 圧縮記帳は法人税法第42条(法人)・所得税法第42条(個人)で定められている。課税を先送りする仕組みで、申告書への記載が要る。

補助金の制度そのものはデジタル化・AI導入補助金2026の解説、機器を買う補助金の例はスキャンツール補助金の記事、個人事業主の申請条件は個人事業主向けの記事にまとめています。

出典

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