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補助金コラム

賃上げに使える補助金・助成金一覧2026|業務改善助成金とAI導入補助金の賃上げ要件

公開日:2026年10月26日 更新日:2026年10月26日

賃上げに使える国の制度は、賃上げと設備投資に対して支給される厚生労働省の「助成金」(業務改善助成金、キャリアアップ助成金)と、ITや設備への投資を補助して賃上げを要件や特例にしている「補助金」(デジタル化・AI導入補助金、省力化投資補助金、小規模事業者持続化補助金など)の2系統です。2026年10月26日時点で急ぐべきは業務改善助成金で、令和8年度の申請期限は都道府県の最低賃金の発効日の前日(遅くても11月30日)のため、多くの都道府県ですでに受付が終わっています。整備工場・車販店が使える制度を、2026年度の一次情報で確かめて一覧にしました。

この記事でわかること

  1. 賃上げに使える補助金・助成金の一覧と、助成金と補助金の違い
  2. 業務改善助成金とキャリアアップ助成金の金額・期限
  3. デジタル化・AI導入補助金の賃上げ要件(第7次以降)
  4. 省力化投資補助金などの賃上げ特例と、併用の考え方

賃上げに使える補助金・助成金の一覧(2026年度)

賃上げ補助金という名前の制度が1つあるわけではありません。賃上げに直接お金が出るのは厚生労働省の助成金で、経済産業省系の補助金は、設備やITの購入費を補助する代わりに賃上げを申請の条件にしたり、賃上げをする事業者に上限額や補助率を上乗せしたりする作りです。主な制度は次の6つです(受付状況は2026年10月26日時点の公式発表)。業務改善助成金は都道府県ごとに締切が違い、ものづくり補助金は第23次(2026年5月8日締切)で公募を終えました。これから申請できる回が残っているのは、デジタル化・AI導入補助金の7次(12月1日締切)、小規模事業者持続化補助金の第20回(12月15日締切)、省力化投資補助金一般型の第9回(11月上旬公募開始予定)です。

制度(所管) 賃上げとの関係 金額・率 2026年10月時点の受付
業務改善助成金(厚生労働省) 事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、設備投資等をした費用の一部を助成 上限30万〜600万円、助成率4/5または3/4 地域別最低賃金の発効日の前日か11月30日の早い日まで
キャリアアップ助成金 賃金規定等改定コース(厚生労働省) 非正規雇用労働者の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定 中小企業は1人4万〜7万円 通年(計画の提出が先に必要)
デジタル化・AI導入補助金 通常枠(経済産業省・中小機構) 150万円以上の申請などで賃上げが必須。最低賃金近傍の事業者は補助率2/3 5万〜450万円、1/2以内(2/3以内) 7次締切 2026年12月1日17:00
省力化投資補助金 一般型(中小機構) 大幅な賃上げで上限を上乗せ。最低賃金近傍の中小企業は補助率2/3 上限750万〜8,000万円(特例で1,000万円〜1億円) 第8回は10月16日締切済み。第9回は11月上旬公募開始予定
小規模事業者持続化補助金 一般型 通常枠(中小企業庁) 1人あたり給与支給総額を3.0%以上増やすと上限150万円上乗せ 上限50万円、補助率2/3(赤字の賃上げ事業者は3/4) 第20回 2026年11月5日〜12月15日17:00
ものづくり補助金(中小企業庁) 大幅な賃上げで上限100万〜1,000万円上乗せ、最低賃金特例で補助率2/3 上限750万〜2,500万円(高付加価値化枠) 第23次で公募終了

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助成金と補助金の違い

助成金と補助金の違いは、所管と審査の仕方です。厚生労働省の助成金は、決められた要件を満たして手続きをすれば受けられる仕組みで、点数を競う採択審査はありません。経済産業省・中小企業庁系の補助金は、事業計画を出して審査を受け、採択された事業者だけが交付を受けます。業務改善助成金も補助金も交付決定前の購入は対象外なので、先に申請してから買う順番は同じです。もう1つの違いは賃上げの位置づけで、助成金は賃上げをしたこと自体が支給の条件になり、補助金は賃上げの計画を立てて数年かけて達成し、未達なら返還を求められることがあります。相談先も、助成金は都道府県労働局、補助金は各事務局と分かれます。

業務改善助成金(令和8年度)の上限額と申請期限

業務改善助成金は、事業場内で最も低い時給(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げ、生産性向上に役立つ設備投資等を行った中小企業に、その費用の一部を最大600万円助成する厚生労働省の制度です。令和8年度は、事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金未満であることが対象の条件で、コースが50円・70円・90円の3つに再編されました。申請期間は2026年9月1日から、申請事業所の都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日か、11月30日のいずれか早い日までです。2026年10月26日時点で受付が残っているのは、青森・高知(10月28日まで)、山形(10月29日まで)、山梨・徳島・愛媛・大分(10月31日まで)、長崎(11月1日まで)、佐賀(11月14日まで)、京都(11月15日まで)、岩手・熊本・沖縄(11月30日まで)で、ほかの都道府県は終了しています。

引き上げる労働者数 50円コース 70円コース 90円コース
1人 30万円(40万円) 40万円(50万円) 90万円(100万円)
2〜3人 40万円(70万円) 50万円(100万円) 150万円(240万円)
4〜5人 70万円 130万円 270万円
6〜7人 90万円 180万円 360万円
8人以上 110万円 230万円 450万円
10人以上(特例事業者) 130万円 300万円 600万円

括弧内は事業場規模30人未満の事業者の上限額です。助成率は、引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4。引き上げる対象は雇入れ後6か月を経過した労働者で、令和8年度からは雇用保険被保険者に限られます。事業完了期限は交付決定の年度の1月31日です。

計算例(厚生労働省の案内より)
事業場内最低賃金1,040円で8人を1,130円に引き上げ(90円コース)、600万円の設備投資をした場合、600万円×4/5=480万円と上限450万円の安い方、450万円が支給されます。

対象経費の例には POS レジや顧客管理情報のシステム化が挙がっています。パソコン・タブレット等の端末は通常は対象外ですが、利益率が前年より3%ポイント以上下がった「物価高騰等要件」の特例事業者は新規導入が対象になります。

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の助成額

キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースは、パートや有期契約など非正規雇用労働者の基本給を定めた賃金規定等を3%以上増額改定し、実際に適用した事業主に、引き上げた人数に応じて助成する制度です。厚生労働省の案内(令和8年4月版)では、中小企業の1人当たり助成額は賃上げ率3%以上4%未満で4万円、4%以上5%未満で5万円、5%以上6%未満で6.5万円、6%以上で7万円です。上限は1年度1事業所100人で、事前のキャリアアップ計画と、原則として事業所内すべての非正規雇用労働者の賃金規定等の改定が条件です。

デジタル化・AI導入補助金の賃上げ要件(第7次以降)

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)は、2026年10月9日に公表された制度変更により、第7次公募回から通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠で「1年後の1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)」の目標が申請要件に加わりました。通常枠で150万円以上を申請する事業者は、1年後に3%以上、3年間の年平均成長率3%以上の伸びと、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にする計画を立て、交付申請時に従業員へ表明する必要があります。IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は、150万円未満でも3.5%以上が必須です。補助率2/3の条件も変わり、2025年10月から2026年9月の間に「その時点の地域別最低賃金以上、令和8年度改定後の地域別最低賃金未満」で雇っている従業員が全従業員の30%以上の月が3か月以上あれば、通常枠の補助率が1/2から2/3に上がります。

  • 150万円未満で、2022〜2025の交付決定がない場合は、賃上げは申請要件ではありません。
  • 150万円未満で、2022〜2025の交付決定がある場合は、1年後と3年間の年平均成長率でそれぞれ3.5%以上が必要です。
  • 150万円以上で、2022〜2025の交付決定がない場合は、1年後・年平均ともに3%以上と、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にすることが必要です。
  • 150万円以上で、2022〜2025の交付決定がある場合は、1年後・年平均ともに3.5%以上と、地域別最低賃金+30円以上が必要です。

事業場内最低賃金の要件は効果報告の直近月で毎年判定され、補助金450万円で1年度目に未達なら全額、2年度目なら2/3(300万円)、3年度目なら1/3(150万円)の返還です。給与支給総額は3年度目の年平均成長率で判定し、未達なら全額返還を求められる場合があります(付加価値額が増えず3年の過半数が営業赤字の場合や天災などは免除)。1年後の目標は1年度目にも判定されますが、未達でも返還は求められません。加点には「交付申請の直近月の事業場内最低賃金が2026年6月の水準+55円以上」が加わりました。

給与支給総額の計算は2回目の申請と賃上げ要件、報告の時期は効果報告はいつまでか、枠と補助額はデジタル化・AI導入補助金2026の全体像、7次の段取りは6次・7次の締切で解説しています。

省力化投資補助金・持続化補助金・ものづくり補助金の賃上げ特例

設備投資系の補助金は、賃上げに取り組むと上限額か補助率が上がる「特例」を用意しています。中小企業省力化投資補助金(一般型)の第8回公募要領では、基本要件として1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上と事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にする計画が必要で、さらに年平均成長率6.0%以上と+50円以上を約束すると、従業員5人以下で上限が750万円から1,000万円に上がります。小規模事業者持続化補助金の第20回では、2027年4月から2028年3月までの12か月の1人あたり給与支給総額を前年同月より3.0%以上増やすと上限が150万円上乗せされ、赤字の事業者は補助率も3/4になります。ものづくり補助金の第23次にも上限を100万〜1,000万円上乗せする特例と最低賃金特例(補助率2/3)がありましたが、公募は終了しています。いずれも目標未達なら上乗せ分の返還などがあります。

省力化投資補助金とデジタル化・AI導入補助金の使い分けは省力化投資補助金との違いで詳しく比べています。

補助金と助成金の併用の考え方

補助金と助成金は、同じ経費に重ねて使えません。業務改善助成金の交付要綱は、助成対象経費について国や地方公共団体から補助金等を受けている場合を不交付事由にしており、デジタル化・AI導入補助金の公募要領も、国や中小機構などの他の補助金と重複する事業を対象に含めないことを申請要件にしています。一方で、経費を分ければ組み合わせる余地はあります。たとえば整備システムの導入はデジタル化・AI導入補助金、別の作業用設備は業務改善助成金、というように対象を切り分ける形です。賃上げの基準も制度ごとに違い、業務改善助成金は「事業場内最低賃金を50円以上」、デジタル化・AI導入補助金は「1人当たり給与支給総額を年3%以上」など物差しが異なるので、両方の数字を満たす賃金計画を先に作るのが安全です。組み合わせる場合は、計画の段階で労働局と各事務局に確認してください。

整備工場で使える制度全体は整備工場が使える補助金まとめ、ホームページを作り直したい場合はホームページ制作に使える補助金で整理しています。

ご注意 本記事は2026年10月26日時点で確認できた各制度の公募要領・案内をもとにしています。補助額・助成率・締切は改定されることがあるため、申請前に各事務局・労働局の最新情報をご確認ください。日本カーネットはIT導入支援事業者として、デジタル化・AI導入補助金の賃上げ要件を含めた申請のご相談を承っています。

よくある質問

Q. 賃上げ補助金とはどの制度のことですか?
A. 特定の1制度の名前ではありません。賃上げに直接支給されるのは業務改善助成金やキャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)などの助成金で、デジタル化・AI導入補助金や省力化投資補助金は賃上げを要件や特例にしている補助金です。
Q. 業務改善助成金は今からでも申請できますか?
A. 令和8年度の申請期限は、都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日か11月30日の早い方です。2026年10月26日時点で受付が残っているのは青森・高知・山形・山梨・徳島・愛媛・大分・長崎・佐賀・京都・岩手・熊本・沖縄で、ほかは終了しています。
Q. AI導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)の賃上げは必須ですか?
A. 通常枠で150万円以上を申請する場合と、IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は必須です。初めての申請で150万円未満なら申請要件ではなく、加点を受けたい場合に計画を立てます。
Q. 賃上げの目標を達成できないとどうなりますか?
A. デジタル化・AI導入補助金で賃上げが必須の申請では、事業場内最低賃金が未達の年度以降の分、給与支給総額の年平均成長率が未達なら全額の返還を求められる場合があります。加点のために表明しただけの場合は返還ではなく、未達の報告から18か月間、中小企業庁所管の補助金で大幅に減点されます。
Q. 業務改善助成金とデジタル化・AI導入補助金は併用できますか?
A. 同じ経費に両方は使えません。対象の経費を分ければ組み合わせる余地はありますが、計画の段階で労働局と事務局に確認してください。
Q. 補助金で自動車整備システムを入れて賃上げにつなげたいのですが、整備システム 比較 の考え方は?
A. デジタル化・AI導入補助金ではリース契約のITツールは補助対象外なので、整備システム リースなしで購入やクラウド利用ができる製品が前提です。受付から請求・整備記録までの入力回数がどれだけ減るか、補助後の自己負担が整備ソフト 安い の範囲に収まるかを見て比べてください。

まとめ

  • 賃上げに使えるのは、賃上げ自体に支給される助成金と、賃上げを要件・特例にした補助金の2系統です。
  • 業務改善助成金(令和8年度)は上限30万〜600万円で、期限は最低賃金の発効日の前日か11月30日の早い方です。
  • キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースは、中小企業で1人4万〜7万円です。
  • デジタル化・AI導入補助金は第7次から1年後の給与目標が加わり、150万円以上は3%以上が必須です。
  • 同じ経費への併用はできないので、経費を分けて両方の基準を満たす賃金計画を作ります。

出典

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